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千葉地方裁判所 平成元年(わ)550号 判決 1990年1月25日

一 本店の所在地

千葉県市川市本行徳二五五四番地五一

法人の名称

有限会社カタオカリース

右代表者代表取締役

片岡敏雄

二 本店の所在地

東京都江戸川区東葛西五丁目三七番一八号

法人の名称

株式会社片岡産業

(旧商号 株式会社片岡造船所)

右代表者代表取締役

片岡敏雄

三 本籍

千葉県浦安市猫実四丁目一番地

住居

東京都江戸川区東葛西三丁目一六番四号

会社役員

片岡敏雄

昭和一三年一一月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官川野辺充子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人有限会社カタオカリースを罰金一七〇〇万円に処する。

二  被告人株式会社片岡産業を罰金六〇〇万円に処する。

三  被告人片岡敏雄を懲役一年に処する。

同被告人に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人有限会社カタオカリース(以下「被告人カタオカリース」という。)は、千葉県市川市本行徳二五五四番地五一に本店を置き、建設機械のリースを目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人片岡敏雄(以下「被告人片岡」という。)は、被告人カタオカリースの代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人片岡は、被告人カタオカリースの業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の修繕費を計上する等の不正な方法により所得の一部を秘匿した上、

一  昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日までの事業年度における被告人カタオカリースの実際所得金額が三〇五九万二〇六六円あつたのにかかわらず、昭和五九年一一月三〇日、千葉県市川市北方一丁目一一番一〇号所在の所轄市川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五六万二六八六円でこれに対する法人税額が一〇六万七三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額一二二二万五四〇〇円と右申告額との差額一一一五万八一〇〇円を免れた

二  昭和五九年一〇月一日から昭和六〇年九月三〇日までの事業年度における被告人がカタオカリースの実際所得金額が七三〇五万一一五三円あつたのにかかわらず、昭和六〇年一一月三〇日、前記市川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五九三万三〇三三円でこれに対する法人税額が一八〇万六六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額三〇六一万四四〇〇円と右申告額との差額二八八〇万七八〇〇円を免れた

三  昭和六〇年一〇月一日から昭和六一年九月三〇日までの事業年度における被告人カタオカリースの実際所得金額が七〇七六万二二四円あつたのにかかわらず、昭和六一年一二月一日、前記市川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五一四万八九四四円でこれに対する法人税額が五四六万四一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額二九五四万四一〇〇円と右申告額との差額二四〇八万円を免れた

第二  被告人株式会社片岡産業(昭和六三年六月二〇日商号変更、旧商号株式会社片岡造船所、以下「被告人片岡産業」という。)は、東京都江戸川区東葛西三丁目一六番四号に本店を置き(同年七月二日本店移転、現在同区東葛西五丁目三七番一八号)、建設用資材のリース等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人片岡は、被告人片岡産業の代表取締役として、その業務全般を統括していたものであるが、被告人片岡は、被告人片岡産業の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の修繕費を計上する等の不正な方法により所得の一部を秘匿した上、

一  昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における被告人片岡産業の実際所得金額が三二四〇万五六七六円あつたのにかかわらず、昭和六〇年五月三一日、東京都江戸川区平井一丁目一六番一一号所在の所轄江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四七九万一七六円でこれに対する法人税額が五〇四万八八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額一二六七万六一〇〇円と右申告額との差額七六二万七三〇〇円を免れた

二  昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度における被告人片岡産業の実際所得金額が四〇九三万六八七五円あつたのにかかわらず、昭和六一年五月三一日、前記江戸川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一八六万二〇五五円でこれに対する法人税額が四一一万三四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額一六七〇万二四〇〇円と右申告額との差額一二五八万九〇〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示事実前部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(五通)

一  斉藤秀男、都丸輝男、斉藤正春、斉藤重和、川本明(二通)及び寺嶋慈夫(二通)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の捜索差押てん末書

判示第一の各事実について

一  西田修一、菅原淳一郎、小嶋忠資郎(二通)の検察官に対する各供述調書

一  斉藤秀男、関良行、石塚千友、下出浩及び渡辺英一の大蔵事務官に対する各供述調書

一  興亜スケール株式会社、重車輛工業株式会社、東邦地下工機株式会社、有限会社葵産業、坂本自動車工業株式会社、ポーター製造株式会社及び鉱研試錐工業各作成の取引内容照会に対する各回答書

一  有限会社葵産業作成の申述書

一  市川税務署長作成の証拠品提出書

一  大蔵事務官各作成の被告人カタオカリースに関する

1  領置てん末書

2  運賃調査書

3  消耗品費調査書

4  修繕費調査書

5  減価償却費調査書

6  事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の報告書

判示第一の一の事実について

一  押収してある総勘定元帳一綴(平成元年押第二一三号の3)及び法人税確定申告書一袋(前同押号の6)

判示第一の二の事実について

一  押収してある総勘定元帳一綴(前同押号の4)及び法人税確定申告書一袋(前同押号の7)

判示第一の三の事実について

一  押収してある総勘定元帳一綴(前同押号の5)及び法人税確定申告書一袋(前同押号の8)

判示第二の各事実について

一  斉藤清純の大蔵事務官作成に対する供述調書

一  江戸川税務署長作成の証拠品提出書

一  大蔵事務官各作成の被告人片岡産業に関する

1  領置てん末書

2  仕入調査書

3  外注加工費調査書

4  運賃調査書

5  消耗品費調査書

6  修繕費調査書

判示第二の一の事実について

一  押収してある総勘定元帳二綴(前同押号の1の1及び1の2)及び法人税確定申告書一袋(前同押号の9)

判示第二の二の事実について

一  押収してある総勘定元帳一綴(前同押号の2)及び法人税確定申告書一袋(前同押号の10)

(法令の適用)

被告人両会社の判示各所為はいずれも各事業年度ごとに法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するので、情状により同法一五九条二項をそれぞれ適用し、右はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により右各罪の罰金の合算額の各範囲内で被告人有限会社カタオカリースを罰金一七〇〇万円に、被告人株式会社片岡産業を罰金六〇〇万円にそれぞれ処することとする。

被告人片岡敏雄の判示各所為はいずれも右各被告人会社の各事業年度ごとに法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、同被告人に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 上原吉勝)

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